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フルリーナ☆旅巡り美味めぐり

旅や取材で出逢った風景・エピソード・美味しいもの

スイス・マッターホルン 旅の思い出


膨大にたまってしまった、旅の写真。
海外に行けない今、写真の整理をしながら、旅の思い出を少し綴ってみたいなと。

私の初海外は、もう30年近く前。
ボイストレーナの先生の合唱団の行脚で、オーストリア、ドイツと回ったのが最初でした。その時、インスブルックで見たチロルアの山々の美しさに感動し、母に見せてあげたい!と思ったのが発端。

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インスブルックからのノルトケッテ連峰

そしてその後、母と母の友人たち、叔母たちを引き連れての、私設コンダクター人生が、叔母たちがリタイアするまでかれこれ20年続くことになりました。その後は、いつも元気に旅についてきた一番年上の叔母は天国に。ほかの叔母や母の友人たちも旅行に行けない状況となり、母との二人旅に。

2019年の旅は86の母が渡欧1か月前に腰椎すべり症で要介護3となり、一時は渡欧をあきらめたものの、主治医の勧めもあり、初の車いす旅行を敢行! 車いすの旅は大変なこともあったけれど、たくさんの人たちに助けられ、親切にしていただき、バリアフリー事情について考えさせられたり、また違った感動をたくさんいただきました。コロナが終息したら、90のお祝いに、もう一度車いすでヨーロッパに連れていきたいなあと思っています。

さて、話がそれましたが、母たちを連れた初のフリー旅行は、今から約26年前。
当時はパソコンという魔法の箱を持っていなかったために、ホテル予約は、それはそれは大変! 現地観光局からホテルリストを送ってもらい、宿に返信用切手を入れて予約するという面倒な作業。のんきなお宿はなかなかお返事くれないし。そうすると電話をかけて、片言の英語で予約はOKかどうかを確認しなくてはなりませんでした。

今ではほとんどの宿が予約サイトやHPから予約でき、その上、部屋の仲間で写真や動画で見ることができる!なんと便利になったことでしょう。でも、現地観光局から、ハイキングマップや、ホテルリストが送られてきたときの、あの喜びが、なんだか懐かしい気がします(笑)。

母たちとの初旅行に選んだのはスイス。
何もわからない、英語もハローとサンキューぐらいしか話せない、50~60代の母や叔母たちを4人連れての旅は、珍道中の連続でしたが(笑)。

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チャップリンの像と。26年前だから若い(笑)

旅先にスイスを選んだ理由は、なぜだか呼ばれている気がしたマッターホルンに会いに行くことと、大好きな大好きなチャップリンのお墓参りをすること。この2本を軸に、母や叔母たちに見せてあげたいスイスの王道・ベルン・ルツェルンマッターホルンユングフラウ地方に、私の趣味で田舎の絶景の町や村・・・ロイカーバード、エッシネン湖、ベットマーアルプ、シュタイン・アム・ライン、ラインの滝などを盛り込みました。

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       当時のHotel Rifferberg ( 現・Rifferhaus 1853 )

マッターホルンは、改装される前の山岳ホテルHotel Rifferberg(今はリニューアルされて「Rifferhaus 1853」になっています)を拠点に楽しみました。

 

この写真は泊まった次の朝の写真なのですが、ホテルに着いた日は土砂降りの雨。
一面真っ白で、どこにマッターホルンがあるのかわからない状態。
雨続きだったので、キャンセルが入ったのか、ホテルは私たちと、もう一組のゲストだけ。なので、最高に眺めの良い部屋にしてくれたのですが、窓の外は真っ白。

美味しいディナーを食べても喜べず、祈るような気持ちで、ずっと眠れずに窓から、雨の向こうのマッターホルンに、お願い・・・姿見せて(;;)と語りかけていました。

夜中になり、雨が小降りになり、やがて止んでいきました。
雨の後に風が吹き荒れ、雲がどんどん流され、次第にマッターホルンの裾野が見えてきました。そして夜中の2時ごろに、とうとうマッターホルンが全容を現し、夜空に見たこともない満天の星が輝きました。

もう、あまりの感動で眠るのがもったいなくて、一晩中、窓辺に座って、マッターホルンを眺めていました。

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ホテルから見たマッターホルンのモルゲンロート

そして、夢にまで見たマッターホルンの、モルゲンロート。
まるで、マッターホルンが両手を広げて、招いてくれてるように感じました。
ああ、やっぱり、呼ばれていたんだ…って思いました。
そして、涙が出て出て、しかたがありませんでした。

私は、ちょうどこの旅行に行く少し前に、自分の根幹が折れてしまったと思うような辛い出来事が続き、その苦しみから逃げるように、旅を始めた…ということもありました。

ほんの少し先に、聳えるマッターホルンも、大雨や霧の中では、全く見えない。
そこに山があるなんて言われても、信じられないくらいに。

 

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でも、いつか雨はやみ、風が雲を飛ばし、そして、やがて朝陽が昇る。
マッターホルンに呼ばれているような気がしたのは、私の折れてしまったと思っていた心に、この光景を見せてくれるためだったのかも、なんて思いました。

その後も、すぐに立ち直れたわけではありませんでしたが、このマッターホルンのモルゲンロートは、私に大きな力とメッセージを送ってくれました。

忘れられない思い出です。

 

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